ピアノの別名

ピアノの別名は

ピアノ,ハンマーフリューゲル

ピアノは、またの名をハンマーフリューゲルと申します。フリューゲルというのは「翼」のことで、グランドピアノを上から見たら片方の翼のように見えるかもしれません。なぜそのような形なのでしょうか。別に、長方形でもいいと思うのですが・・・・・。

 

ピアノのふたを開けて見ました。多くの弦が張ってあります。一番高い音の弦は約6センチぐらいでしょうか。だんだん低いほうに向かって弦は長くなっていきます。でも、そのままの太さで弦を長くしていくと、一番低い音を出すには、5メートルぐらいになってしまうそうです。

 

そこで、低いほうでは、巻き線といって、コイルのようなものを巻きつけて弦を太くして低い音を出しています。ですから、低い方では弦は大体同じ長さですが、全体としては、高い音の方に向かって弦が短くなっていきますので、あの翼のような優雅な曲線を描いているのでしょう。

 

作るのは難しいと思いますが、そのほうが見た目も出る音もいいのだと思います。ピアノで高い音と低い音を、同時に同じ強さで弾くと、必ず高い音が先に消えてしまいます。長い弦、太い弦の方が振動の持続時間が長いのですね。

 

ですから、ピアノという楽器は、早く消えてしまう高い音の方を強めに弾かなければならないのです。ピアノの場合は、メロディーも伴奏も一つの楽器で演奏するので、メロディーと伴奏に音量の差をつける必要があります。

 

多くの場合、メロディーは右手で、伴奏は左手で奏します。伴奏はその部分のメロディーに対する和音を奏するのですが、一つの和音のうち一番低い音をバスといって、バスは和音の性質を決定するとても大事な音です。

 

メロディーは一番強めに、その次にバスをやや強めに、そして、メロディーとバスの間にある和音は控えめに弾くのが普通です。年末になると、よくベートーヴェンの第九をやりますが、あの時ソリストが4人出てきますよね。

 

今度見てみてください。女性が二人いますが、一番最初に出てきて一番高い音を歌うソプラノと、次に出てくる女性の低い声のアルトを比べますと、ほとんどの場合、ソプラノの方が衣装が派手です。ソプラノが赤なら、アルトは青というように。

 

男性も二人いますが、衣装は両方とも黒ですから、区別はできません。しかしなんとなく、一番左側の低い声担当のバスのほうが、体が大きいことが多いように思います。

 

そういえば、昔大学に勤めていた頃、体が大きくてよく第九に出ている有名なバスの声楽家の先生と学食で一緒になりました。私がキツネそばを注文していると、その先生は「カレーライスとチャンポンお願いします。」と注文していました。

 

いい声だから、学食中に聞こえました。やはりああいう声をだすには栄養が必要なのですね。まあそういった事情で、ピアノを弾く時外側に位置する小指は、一番高い音、一番低い音を弾くことの多い小指は、派手な働きをすることが多く、角砂糖は割れないまでも、強くたくましくなければならないのです。

 

次によく現れる伴奏形を楽譜で示します。赤丸がついた音は左手の親指で弾くところです。親指は動きが悪い状態のときは強い音が出てしまいます。もし、この赤丸の音が親指の動きが悪くて、強く弾かれた場合には、音楽は惨憺たるものになってしまいます。

 

ピアノ,ハンマーフリューゲルピアノ,ハンマーフリューゲル

 

どんな状況かといいますと・・・、奥様がお友だちと楽しくパーティーをしている時に、泥酔した夫が大声を上げて帰ってきた、というようなとても考えたくないようなひどい状況といえるでしょう。

 

そこで、左手の伴奏形は、右手のメロディーよりずっと弱い音で弾かなければなりません。ただし、ただ弱ければいいというのではなくて、伴奏の音はしっかりとした存在感がなければなりません。

 

演劇などで、渋くて存在感のある脇役がとても大事なのと同じです。この弱い音で、かつ存在感の有る音というのが大変に難しいことなのです。アマチュアとか学生と、一流の演奏家との違いは、緻密さにあるといわれています。

 

私は、主な違いは伴奏形の緻密さにあると思っています。したがって、技術の足りない者が良い演奏をしようと思ったら、とりもなおさず、伴奏形の弱くて存在感のある音を求めて、練習を重ねるのが最善の方法だという結論に達しました。

 

そして、この伴奏形の成否の鍵をにぎっているのが、親指、特に左手の親指ということなので、親指がうまいひとがピアノのうまい人、というのいもかなり的を射たことと言えると思います。

 

byすすむ


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